第七話 潜在意識と夢

 

シンクロニシティの実話の中には、夢と現実が同調して起きた出来事が たくさんあります! それは、何かの暗示や警告だったり、アイデアを授けてくれることや、 夢で見た通りのことが起きる、予知の場合もあります。 夢は、私たちが普段は意識できない、心の奥深く、潜在意識から 現れてくるものです。 今回は、「潜在意識」と「夢」と「シンクロニシティ」の秘密ついて 見ていきたいと思います。 

人間は人生の3分の1を眠って過ごしているといわれています。 これは、1日は24時間であることから、8時間は労働時間、 自分のための時間を8時間、残りの8時間を平均睡眠時間と考えた場合です。 人生の3分の1。 こんなに長い時間をさく、睡眠には、どんな必要性があるのでしょう?  睡眠は、身体の疲れを癒し、脳を休め、ストレスで抑圧された心を解放します。 脳は、寝付いてから3、4時間以降から、ストレスを抑える働きのある 副腎皮質ホルモンを分泌します。 このことから、脳の疲れをとるには、最低5時間の睡眠が必要であると 言われています。 そして、ストレスを十分取り除くには、それ以上の睡眠が必要です。 夢を見て、ストレスで抑圧された心を解放するです。 これは、心理分析の創始者、夢を始めて心理学的に研究した、 有名なジグムント・フロイトの説です。 私たちは、一晩の間に浅い眠りと深い眠りを交互に繰り返し、 夢は、浅い眠り(レム睡眠)の時に見ています。 レム睡眠は90分ごとに起こるため、私たちは一晩に4~5回も 夢を見ていることになります。 けれど、その全てを憶えている人はいません。 人によっては、夢なんて見ていないと思っている人もいるくらいです。 人生の限られた時間の、何分かの1を占めていて、見ても殆ど憶えていない夢。 一体何のためにあって、どんな働きをしているのでしょう?  フロイトは、夢とは、 「過去の満たされなかった願望が形を変えて実現したもの」と考えました。 社会の常識や倫理などで、「いけないこと」として押さえつけられた願望は、 夢の中で体験することで、解消されるというのです。 そして願望は、そのままストレートに表現されると、夢とはいえ、 表面意識がパニックを起してしまう恐れがあるので、 正体を見破られないように変装して現れるのだそうです。 例えば、夢の中では、父親は国王に、母親は王妃に、という具合です。 これはシンボルと呼ばれ、夢辞典などに、その解釈が紹介されています。 フロイトは、「過去の満たされなかった願望」とは、 幼児期に抑圧された、性的な願望であると考えていますが、 ユングは、 夢は「現在その人が抱えている心理的問題を表すもの」と言っています。 彼は過去のどろどろした欲望よりも、今現在の心理状態の方が 夢には多く反映されているはずたと、考えたのです。 それだけでなく、ユングは、 夢は潜在意識が提供してくれる知恵であり、 私たちの過った生活態度を指摘し、足りないところを補ってくれるものであり、 また、時として、潜在意識に潜んだままになっている未知の自分を 見せてくれることもある、と言っています。 潜在意識は、ありとあらゆる記憶の貯蔵庫です。 表面意識ではすっかり忘れてしまっている子供のころの出来事でも 潜在意識ははっきりと憶えているのです。 そしてまた、習慣化された日常の行動もそうです。 車の運転、自転車の乗り方、ネクタイの締め方・・・ これらの習慣化された行動はいちいち考えながらしていることではありません。 習慣化された行動というのは、潜在意識がその方法を記憶していて、 何も考えなくても自然に動くことができるのです。 そしてさらに、潜在意識はその膨大な情報量で、ある程度の 未来の方向性をつかんでいるといいます。 私たちが夜眠り、表面意識が休んで緊張が解かれたとき、 潜在意識は夢という形で浮かび上がり、ストレスを発散させたり、 私たちに知恵を授けたり、未来の方向性まで示してくれているようです。 そして、人によっては、個人的無意識だけでなく、 集合的無意識から情報を受けとることが出来る人もいます。 人や動物、この世にある物のすべては、意識の底では 繋がっているといいます。 個人的な潜在意識の限られた情報ではなく、 全てのものが繋がっている集合的無意識からの情報なら、 限界のない知恵を得ることができます。  未来の出来事がそっくりそのまま現れる予知夢や、 遠くで起こっていることが夢に出てくる場合などは、 この集合的無意識と繋がってしまった場合といえそうです。 潜在意識が、私たちの心の状態に合わせて、夢という形で情報を送ってくる。 これが、夢と現実がシンクロすることの秘密だと思います。 

☆夢が授けた知恵・警告、予知夢など、夢の不思議な話をご紹介します。 学者や発明家、さらに作家たちは、夢からインスピレーションを 得ることが多いそうです。 数ある話のうち、蒸気機関も発明したジェームス・ワットを取り上げてみます。 「ワットが活躍した十八世紀においては、鉄砲の弾丸の製造法は原始的で、 時間がかかりコストが高くついた。 いったん鉛を板状にのばし、それを巻いて丸め、適当に切って弾丸に していたのである。金太郎飴の製法に似ていなくもない。 そのころ、ワットは嵐のなかを歩いている夢を見た。 いやに強い雨だなあと感じていたら、それもそのはず、雨ではなく 降り注ぐのは丸い鉛の弾だったのだ。 どうして鉛の丸い弾なんかが降ってくるのか。 初め、ワットには見当がつかなかった。 ところが、鉛の雨は一週間も続けてワットの夢のなかで降りつづいたのである。 ついにワットはひらめいた。溶けた鉛は落下するときに球状に固まって 落ちてくることをつきとめたのだ。 そしてワットは、この原理を応用すれば、鉛の弾丸なんか簡単に 造れてしまうことを発見したのである。」 (津田良一著「世にも不思議な予兆・前兆99の謎」二見書房) 次は、予知夢の警告によって、赤ん坊の命が救われたという話です。 「ワシントン州である夜、若い婦人が恐ろしい夢に動揺し、 夫を起してその話をした。 彼女が見たのは、隣りの部屋の大きなシャンデリアが落ちてきて、 ベットに寝ていた赤ん坊が下敷きになって死んでしまうという夢だった。 夢の中の彼女は、自分と夫が粉々になったシャンデリアが散らばる部屋の中に 立っているのを見ていた。 ベビーだんすの上の時計は四時三十五分を指していた。 遠くで雨が窓ガラスを打つ音がし、外では風が吹き荒れていた。 夫はその話を笑い飛ばした。 ばかばかしい夢だ、そんなことは忘れて寝なさいというのだ。 そしてすぐに、自分は寝入ってしまった。 だが彼女は眠れなかった。 やがて彼女は、恐怖にとりつかれたままベッドを抜け出して隣りの部屋に行き、 赤ん坊を抱き上げて自分達の部屋に連れてくることにした。 彼女はちょっとばかばかしい気がしながらも、赤ん坊を連れて 自分達のベッドに入った。 二時間ほどして、夫妻はすさまじい音で目を覚ました。 彼女が飛び起き、夫も後についてベッドを出た。 隣りの部屋に行ってみると、赤ん坊が寝ていたはずの場所に、 ジャンでリアが落ちていた。 二人は顔を見合わせて、それから時計を見た。 時計は四時三十五分で止まっていた。 まだ信じられない気持ちでいた二人の耳には、雨が窓ガラスを叩く音と、 外で風が吹き荒れる音が聞こえてきた」 (超科学シリーズ6、国書刊行会) アイデアや警告、良い事も悪い事も、 潜在意識からの情報を、夢で知ることが出来たら素敵ですね。 見た夢を関知し、思い出すことは、練習によって出来るようになるそうです。 何か印象的な夢をみたら、夢ノートをつけておくのも良いでしょう。