第五話 集合的無意識

 

シンクロニシティは、時に、私達に未来を垣間見させてくれたり、 必要とするものを、奇跡的に与えてくれたりもします。 こんなに素晴らしく、また不思議で面白い現象ですが、 これはただ“偶然に”起こるのを待つより仕方がありません。 シンクロニシティを私達の身近に起させ、うまく活用することは 出来ないのでしょうか? 今回は、その方法を探ってみようと思います。

シンクロニシティが起きる秘密は、 「この世のすべてのものは、繋がっていて、互いに連動している」でした。 その繋がりは、私達人間でいうと、意識の底の底に埋もれています。 シンクロニシティを起そうとするのなら、その繋がりからアクセスするしか 方法がないのかもしれません。  心理学者、カール・グスタフ・ユングの説では、人の心の構造は 4段階に分かれているとしています。 まず、一番上にあって、表面に現れている意識が、 私達の普段の意識状態です。 そして、そのすぐ下、2番目にあるのが、「個人的無意識」です。 表面意識が知っていることより、ずっと多くのことを知っています。 人が眠ると、夢などで活動をします。 3番目は、非常に深いところにあり、殆どの人が 意識することはない、「集合的無意識」です。 人類は皆、ここで意識が繋がっており、そのために 第二話でご紹介したような、連鎖反応が起きます。 そして、その奥の4番目は、もはや心とは呼べないものなのかもしれません。 それは自然そのものの領域で、人間という種を超えて、 世界にあるあらゆるものが繋がっている場所なのです。 この状態を完全に意識できるようになれば、私達が想像もつかないような ことが出来るようです。 理解できそうな範囲では、千里眼や、テレパシーなどの超能力でしょうか。 きっと、こんな状態になることが仏教でいう「悟り」、 「お釈迦様の境地」ではないかと思います。 私達が、シンクロニシティを起こす事が出来るか?という事ですが、  やはり、シンクロニシティは、“偶然”の一致ですので、“故意”に 起こすことはできません。 けれど、私達自身が、シンクロニシティを関知する能力(予知や直感)を 高めたり、シンクロニシティが起こすための「きっかけ」を つくることは出来ます。  私達は、普段、外の世界の出来事に集中していますので、 意識の段階の一番上、「表層意識」しか使っていません。 それを、表層意識ではなく、心の内面に意識を集中すれば、 シンクロニシティを関知できるようになります。 「瞑想」や「禅」では、座って目を閉じて、 この「心の内面に集中していく」ということをやっているのです。 この時、心のエネルギーは、内面に集中されますので、 表層意識の働きは鈍くなって、外のことは、あまり意識できないでいます。  シンクロニシティを関知する一つの方法は、「心の内面に意識を 集中させること」ですが、それ以外にも方法がもう一つあります。「表層意識の働きを鈍くすること」つまり、ボーっとすることです。 普段は、外で起きることに気をとられすぎて、表層意識が活発に動き、 潜在意識が表にあらわれるスキもないのですが、 ボーっとしていると、自然に潜在意識が表面に浮かび上がってくるのです。  「夢」がそのいい例です。眠っていて、外からの刺激もなければ、 考え事をしている訳でもありません。 そのため、無意識が、自由に動き回ることが出来ます。  どちらの方法をとるにしても、この世のものがすべて繋がっているという 意識の領域に触れることが大切です。 その意識の状態で、超能力者は、未来を垣間見、ほかの人間や動物と 心を通わせてテレパシーで話し、遠くで起きていることさえ見るのです。 そして、その領域で必要なものを念ずれば、現実に、何らかの形で (偶然の一致等で)そのものを手に入れることが出来ます。 これは、「マーフィーの法則」で言われていることと同じです。 「リラックスして、念ずれば、全てが叶う」 マーフィーの法則では、「1日1回リラックスして、 『私はお金持ちになりつつある』と唱えましょう」と言っています。  こういうこと自体、すでに驚きなのですが、これにはさらに 驚くべき秘密が隠されています。 心の世界で念じたことが、実際の物を引き寄せてくるということは、 「心」と「物質」は繋がっている、ということです。 さらに言うと、「心」と「物質」は分けることは出来ない 同質のものである、ということです。 アインシュタインは既に、相対性理論の中で、 「物質」と「エネルギー」は等しいと証明しています。 物質の最小単位の原子を破壊すると、それはすさまじいエネルギーとなります。 それを実際に行ってエネルギーを取り出しているのが原子力発電です。 世界中のものは、その根底では、心も物質もエネルギーも皆同じで、 繋がった存在なのです。 

☆私達が、実際にシンクロニシティに頻繁に出会えるようにする方法です。   1、心を内面に集中していくこと 「悟り」を求める人や、本格的に「繋がり」を求めていこうとする人には 「瞑想」や「禅」など、「心を内面に集中していく」方法は良いと思います。 けれど、ちょっと難しいですし、ここまでする必要を感じないという人が 大半だと思います。そんな方は、2の方法が良いでしょう。 2、リラックスする 表層意識の働きを鈍くする方法です。 ボーッとして、何も考えないでいる時間を持つようにしてください。 考えごとや悩みがあって、どれほど考えても解決策が浮かばす、諦めて 気がフッと抜けた瞬間、答えが浮かんだ、ということはありませんか? リラックスして、潜在意識が自由に動けるようにしてやると、 直感や勘が冴え、名案も浮かびやすいでしょう。 3、求める これはシンクロニシティのキッカケ作りです。 何かを真剣に求めることは、意識の底の繋がりを使って、 必要としているものを引っ張り寄せることになります。 マーフィーの法則では、リラックスして、願望が成就した様子を ありありとイメージするように教えています。 そうすると、潜在意識は何らかの方法(偶然の一致)を使って その願望を現実化します。 もし、この方法を試されるのでしたら、必ずポジティブな願いにしてください。 なぜなら、他人の不幸など、ネガティブなものを願うと、自分にも同じ事を 引き寄せることになるからです。 4、起こったシンクロニシティを記録する これが最も実践しやすい方法かもしれません。 「求める」と同じように、やはり、自分が興味を持っていることも 自分の身に引き寄せることになります。 シンクロニシティに興味を持てば、シンクロニシティが寄ってくるのは 当然のことと言えます。 起こったシンクロニシティを、どんな些細なことでも書き留めていくと、 確実にシンクロニシティが起こりやすくなります。 私もこの方法を実践しているのですが、些細なシンクロニシティなら、 以前よりもずっと多く、身の回りに起こるようになりました。 シンクロニシティは、どんな些細な事でも、いつも新鮮な驚きを感じます。 一度試してみてはいかがでしょう? 

☆読者さんのシンクロニシティの体験談です。シンクロニシティにも  本当に様々な種類があるのだな・・・、と思ってしまいます。 「私が家族と伊勢神宮にお参りにいった時のことです。 参拝する前に、鳥居の横にあるトイレに入ったのですが、 ティッシュペーパーがなくて、トイレ内の自動販売機で買う事にしました。 けれど、お金を入れて、ボタンを押しても出てきませんでした。 もう一度試す気にもなれず、ちょっと腹を立てて出てきて、 そのまま参拝に行きました。 参拝の後、(恥ずかしいのですが)未練が残っていたのか、家族と もう一度トイレに入っていき、文句をいいながら、お金を入れずに、 自動販売機のボタンを押してみました。 そうしたら、お金もいれてないのに、ティッシュが2個出て来たんです! 不思議でした。伊勢神宮の神様にからかわれたんでしょうか?」